生後間もない赤ちゃんも、聞き分ける力がある(1)

生まれたばかりの赤ちゃん、話しかけてもなにもわからないだろうなと思うかもしれません。
ところが、赤ちゃんといってもその聞き分け能力は私たちが考えるよりもずっと発達しているのです。
赤ちゃんの言語習得について研究しているパリのフランス国立科学研究センターの認知科学・心理言語学研究所所長、ジャック・メレール博士は、赤ちゃんが生まれてすぐに言葉を聞き分ける能力があると語っています。
博士自身もスペイン出身ながら英語、イタリア語など7カ国語を話すことができることもあり、赤ちゃんが母国語以外の言語をどのように獲得するか(どの時期に、どんな刺激を与えれば効果的に学習できるのか)を意欲的に研究しています。
赤ちゃんの脳機能を調べる上で博士が注目しているのが「光トポグラフィー法」という方法です。
この研究でわかったのは、生後5日以内の赤ちゃんでも「言葉を聞いた時」「何もしない安静状態の時」で明らかに脳の血流量が変わったそうです。
生後5日以内の赤ちゃんがすでに言葉に反応し大脳皮質が活動しているのです。

メレール博士は母国語以外の言語を習得するには早い時期に越したことはないと言います。
これはもちろん“ネイティブスピーカー”を育てるという意味でです。
「せっかく赤ちゃんの時にすでに鋭い言語能力があると分かっているのですから使わない手はありません。年齢を積めばその分機能が弱まっていくのですから」と博士は言います。
メレール博士の研究はまだまだ続きます。

乳児の脳、たった2ヶ月でも大きな進化が!

イギリスにある大英博物館の隣にあるロンドン大学バークベックカレッジ、ここにある「心理学認知発達研究センター」の実験室では赤ちゃんの脳の機能や行動に関する研究が行われています。
1998年に設立されたこのセンターでは20人余りの研究者が様々なパターンの実験を繰り返しています。
実験を受ける赤ちゃんのご両親の理解と協力を得ながら実に年間500人以上の0歳児の赤ちゃんが実験を受けているのです。
そこでわかったのが赤ちゃんの形を認識する力。
モニターに映し出される絵を見せる実験でわかったのは、生後6ヶ月で認識できなかった物体が生後8ヶ月ではしっかり認識していることでした。
この2ヶ月の間に赤ちゃんの脳の中では何かが起きているわけですね。
まあ難しいことはさておき、実際に赤ちゃんを育てているとその成長のすさまじさに驚きます。
1ヶ月経つとだいぶ様子が変わりますし、1日1日進化しているのを感じます。